ユウ、ヒロ、ナツの戯言

男3人による戯言、雑記、日誌を散文的に

青春を舐めるな!(高校入学編)

書き続けることに意味があるのかもしれないと思い、ブログを綴ることとする。

 

高校時代のエピソードを語ろう。

 

中央大学付属高校を落ちた私は不本意ながら男子校へ入学することになる。男子校ということで私は入学前に多くの夢を諦めた。女子がいる文化祭、体育祭、修学旅行…。いやイベントだけではない!そこに女子がいるということが重要だったはずだ。しかし、いないからといってすべてを放棄するわけではない。たとえ男だらけの生活になろうとも私は高校生活に夢を持っていた。補足すると、私の中学時代は暗黒期のため、高校こそはという想いがあったのだ。

 

高校生にもなれば中学時代よりも格段に行動力があがる。バンドもやりたいし、友達と旅行も行きたいし、彼女だってやっぱり欲しい。私は、「虹色に輝く青春を必ず手に入れてみせる!」とひとり決意するのだった。

 

新入生の春というのは間違いを犯してはならない。この時期にクラスの立ち位置が決まり、所属するグループも決まる。しかし、焦ってもよくない。教室に入ると、まず40名全員男子という黒ずんだ景色にげんなりするがそこはスルーする。私はその苗字から一番右端の一番後ろの席であった。昔から新学期ではまず名前順ということが多いのでここは想定内。ちなみに一番端でしかも一番後ろというのは、友達作りのうえではかなり不利だ。私の席の周りでは早くもグループができていた。サッカー部×やんちゃ系(マイルドなヤンキーもしくはライトなギャル男系?)。私は早々に「ここではないな」と思った。目ざとく、教室全体を眺める。2列離れた席界隈(教室の中央後方)では、佐々木という男が頭角を見せつつある。なるほど、さぞ中学時代は人気者だったに違いない。そのさらに横の列に目をやると、鈴木、鈴木、鈴木…!鈴木が3人もいやがる!しかもそのうちふたりは同じ顔(双子)。ややこしいから同じクラスにするなよ!うーん、この双子はスルーだな。佐々木と双子じゃない鈴木(ヒロ)が会話している様子を俺は眺めている。「ここだな」そう思った。しかし席が離れているため、なかなかきっかけがない。ただでさえ席のハンデを感じている中で私は3つのミスを犯すこととなる。

 

①春の遠足を不参加

入学早々に親睦を深める目的で遠足があった。当日の朝、キッチンで洗い物中にうっかり、ばっさり手を切ってしまい。そのまま病院で10針縫っていたため欠席したのだ。親睦を深める遠足を欠席したのはかなり大きなハンデとなった。私はこの時期は一人暮らしをしていたため、家のことは自分でやっていたのだ。

 

②うっかり秀才であることがバレる

一応は進学校ということだろう。入学早々に学力テストがあった。受験を終えたばかりの私にはどうでもよいテストだったのだが、うっかり学年2位になってしまった。ちなみに1位がげんちゃんで3位がワタナベという俊才ツートップに挟まれる形であった。勉強ができるというのは当時の私にとってはマイナスでしかなかった。佐々木と鈴木の顔を見てみろ。あの助平そうな顔、馬鹿そのものではないか。ちなみに私の席の前のAを含むやんちゃグループからは「頭がいいやつとは友達になれないわ!」という陰口でもないただの「お前とは友達になれない宣言」を言われたことをはっきりと覚えている。

 

③俺は田舎者だった!

これはなんの機会だったのかは記憶にないのだが、入学して早々に私服で集まることがあった。私は特に気合も入れずに、いつもの服で出かけた。しかし、集合場所で気がついた。「しまった!」都内の私立高校生たる者、私服を舐めてはいけないのであった。みなそれなりに流行のファッションで身を固めているではないか。佐々木にはっきりと「ダサいな」と言われたことを今でも覚えているぞ!これは私の作戦が裏目に出たことでもある。次回で語るが、私は地元ではヤンキーグループに属すという黒歴史がある。そのため高校ではヤンキー臭はいっさい消すことを意識していたため、大人しい恰好をするということもあった。まーでも結局は田舎者だったということだろう。

 

この3つのミスで私は、高校生活への期待は半ば諦めた。地元には友達もいるし、バンドも地元で組めばいいし(実際に組んだ)。そもそも、背も小さく、見た目も普通な私が虹色の青春なんて烏滸がましい。そもそも男子校だしな。

 

淡い期待は捨てるべきなのだ…とはならなかった!

 

私は多少強引に、佐々木やヒロのグループへと編入していった。何となく上手くやっていけるという対人関係における謎の自信と高校こそは楽しむという意地が私を動かしたのである。

 

私は夏休みに入ると、髪型を変え、ピアスを開け、服を全部買い替え、腕には数珠を付け、高校生活も5か月が経とうする中で、今更ながらのフルモデルチェンジを行う。これまではザ・学生規定の通り!という制服ファッションも、袖無しニットを羽織、シャツは夏でも長袖、パンツは緩く下げ気味(腰パン気味)、靴はブランドのローファー、鞄はぺしゃんこに潰して肩に掛ける。ポパイを読み、ホットドックを読み、私は急激に都内の男子高校生水準へと変貌していくのであった。結果的にイケてる高校生にはならなかった(なれなかった)のだがね。

 

紆余曲折はあったが、こうしてバカまっしぐらの高校生活を歩みだすことになる。ちなみに入学当初のヒロは美しいまでの真ん中分けで(亀頭ヘアと呼ばれていた)、背の高いポテンシャルを活かしきれていないやはり田舎者だった。そんなヒロに俺は密かに親近感を持っていたのだが、彼も同じだったのではないかと俺は睨んでいる。

 

「憧れの青春なんて自分にはない」なんて言う若者がいるが、私は青春を舐めるな!と言いたい。黙っていれば手に入るものではなく、恥ずかしい思いを何度もしながら勝ち取るものなんだよとね。