ユウ、ヒロ、ナツの戯言

男3人による戯言、雑記、日誌を散文的に

京極夏彦に纏わるエトセトラ

私は京極夏彦を読んだことがない。

どうもあの分厚さに気後れしてしまう。

うちの本棚には京極夏彦の文庫本がある。

800頁を超える小説。なんという太さだ。

なぜ、上巻、下巻に分けないんだ?

 

そんなことを考えていたら、

高校時代のある一夜を思い出した。

女子大生と合コンするのが、

俺たちの一時的なブームだった頃の話。

 

ある日4対4で合コンをすることになった。

4人中ふたりを俺は知っていたので、

残りのふたりに淡い期待を抱いていた。

 

合コンが始まって、こりゃ駄目だと思った。

そのふたりが170をゆうに超える長身女子…。

そのうちのひとりに俺は惹かれていた。

どこか地味で、大人しいそうな子だった。

まるで背が高くてすみませんって言ってるような

猫背で弱気な表情をしている。

 

でも、きっと俺では駄目だろうな。

背の低い俺では駄目だろうな。

恋をする前に失恋したような気分だった。

敗北を頭に過られながらも俺は

ひょっとしたら相手の背を気にしないタイプ

かもしれないと淡い期待を捨てきれない。

 

俺たちは友人宅で飲み直しをした。

その時は男女3対3になっていた。

もちろんそこにはヒロもいる。

長身のあの子もいる。

 

俺はその長身女子に聞いたんだ。

俺「どんな人が好みなの?」

女子「背の高い人…」

だよねと。そりゃそうだよねと。

そうするとヒロだけが候補者だ。

 

俺はヒロに嫉妬したよ。

 

ヒロはというと興味がないと言わんばかりに

会話にも参加せず友人宅で漫画を読んでいた。

 

俺は再び質問をする。

俺「趣味とかあんの?」

女子「本を読むのが好きで」

ますますタイプだ…。

俺「どんな本?」

女子「…。怪奇的なミステリー…。」

その瞬間だった。

それまで会話に参加せず漫画を読んでいたヒロが

ヒロ「京極夏彦!?」

と声を上げた。

長身女子は嬉しそうに

女子「そうです、京極夏彦は好きです」

ふたりの世界に入りこむ様を眺めながら、

なんでヒロが京極夏彦を読んで

やがるんだよって…。

 

ヒロに嫉妬したんだ。

 

ヒロ「もっと京極夏彦について語らないか?」

女子「はい」

ヒロ「小説よりも太っい俺の〇〇〇を拝んでくれ」

女子「はい」

そう言ってふたりは友人宅を後にして、

池袋のラブホに直行したのだった。

 

そういつだって、

ヒロはいい女をものにしやがる。

 

俺の本棚に、

京極夏彦の本が一冊だけ眠っているのは

まーそういうことだ。

 

【ユウ】