ユウ、ヒロ、ナツの戯言

男3人による戯言、雑記、日誌を散文的に

オナニー進化論

チャールズ・ロバート・ダーウィンは1859年刊行「種の起源」で進化論を説いたことは有名である。自然選択によって生物は遺伝化学的に進化を遂げている。

 

進化論の派生として「優生論」がある。これは優秀な遺伝子が残るという考え方だが、差別的思想が歪んだ優生論を輩出したという歴史的な事実があることは触れておく。

 

相対性理論、絶対性理論、万有引力の法則の前述した経緯は序章に過ぎない。

この進化論からがいよいよこの性的論争の本題である。

これまで対立構造を浮き彫りにしてきた、ハルカスやヘタ、ナツノが2010年ころから互いの論調を重ねあうことで大きな性的論理の体系化を図るという構図が生まれる。のちに「平成の性変」と呼ばれるムーブメントである。

 

まず2015年に、アベノチンコ・ハルカスは、「オナニー進化論」を提唱した。

 

江戸時代の浮世絵師による春画、裸写真、青年漫画、動画、VRと抜きネタは、時代と共に革新的進化を遂げている。オナニーは本能的な行為のため、進化が停滞している分野と言われていたが、近年その発展は国内最大規模の経済市場を形成するに至っている。ハルカスは著作「性の起源」の中で、その進化は自然選択による(もしくは自然淘汰)系統的発展と論じており、現代社会はもう春画に戻ることはできない不可逆的な事象であるとの結論を表明している。

 

これに対して、相対性理論と絶対性理論で反発したヒロ・ボーリングヘタは2016年刊行の著作「風俗優正論」の中で、風俗的には退化理論を提唱した。花街の遊郭から始まり、ソープ(トルコ)やちょんの間といった本番行為からピンサロ、オナクラなどよりライトな性サービスの変遷は、人類の性的欲求の退化そのものを表しているとして、この時期に流行した「草食男子」に警鈴を鳴らしている。一方で風俗は優生論的解釈が可能として、性的サービスがより安価でソフトなものが優生として生き残っていくという考察をしている。この優生論は、ハルカスの優生論と類似性があるということが特徴的である。

 

2017年、ハルカスとヘタに呼応するようにナツノチンコ・スカイツリーは、「二次元優生思考の道」を専門誌「アップル通信」に上奏する。ナツノは、漫画やアニメの文化的発展が、性対象に及ぶ影響について言及している。これは、よりリアルなものを求めて進化してきたというハルカスの「オナニー進化論」の外伝的位置づけであり、リアルの反作用としての二次元的エロへの回帰や画像や動画修正技術の発展によるセクシー女優の二次元化を論じている。これによってスマホネイティブ世代が、加工された二次元的エロス(または創作的なエロス)を追及するあまり、リアルな異性に性的興奮を求めないというパラドックス的現象を体系化したとされている。また、ヘタの「風俗的退化論」に関しても、リアルを求めない性的思考が、よりライトなサービスを求めた結果という解釈をしている。

 

この性の巨匠の3人がそれぞれ発展させた性理論は2020年のオナクラ原論に集約的帰結をみせるのだが、それはまた別の話。

 

最後にダーウィンの残したとされる言葉を紹介しよう。

 

「優秀な者、強い者、賢い者が生き残るのではなく、変化できた者が生き残る」

進化論から派生した優生論は、前述のとおり歪んだ思想を生み、また倫理的論争を招いた。時の主導者は自分の民族が優生であると主張し、他民族の弾圧を行った。これらの民族的差別の背景として「優生論」がある。しかし、ダーウィンは、優秀な遺伝子が生き残るのではなく、変化に対応できた遺伝子が生き残るという哲学的解釈を表明することで人類の差別的発想と対峙したのである。