ユウ、ヒロ、ナツの戯言

男3人による戯言、雑記、日誌を散文的に

例えば、西暦2045年のおれたち

2045年、俺は65歳になっている。

 

2045年の春から、

ヒロの夫婦とナツの夫婦と俺の

5人で共同生活が始まる。

 

ふたりの子供はもう一人立ちしててさ。

俺は嫌だって言ったんだけど。

迷惑掛けるからって言ったんだけど。

ナツの実家をリフォームして、5人で暮らすことになった。

3階がヒロ夫婦、

2階がナツ夫婦、

1階がリビング兼俺の住処。

 

リフォーム代はヒロ夫婦とナツ夫婦が折半した。

俺は生活費としてふたりに月に2万円払っている。

食事は、交代制で担当し、みんなでご飯を食べる。

 

俺はふたりの部屋に盗聴器を仕掛けるんだけど、

さすがに両夫婦とも夜の営みはもうないらしい。

 

どうりででかいな思ったら、

これ、ヒロのパンツだった。

なんてことがね、そんな些細なことでね

みんなで笑ってる。

 

屋上テラスで、ヒロとナツと俺は煙草を吸っててさ、

「もうちんこ全然立たねーわ」ってヒロ

「俺、全然まだ立ちますよ」ってナツ

バイアグラやるよ」って俺

 

リニアモータカーに乗りてーなって。

そんで3人で大阪に行ってさ、

駄目もとで飛田新地に行ってさ、

「やっぱり立たねーわ」ってヒロ

「俺はいけそうです」ってナツ

バイアグラやるって」って俺

 

5人で100歳まで生きようぜって言ってさ。

とりあえず煙草はやめようぜって話。

 

だけど、65歳で俺は死んじまった。

 

2045年の冬。

そろそろ孫の顔も見たいなって、会話して、

ふたりに孫ができたらお年玉あげないとなって。

おれはぼんやり考えてた。

年金少ないからな。あんまりげげられないなって。

それまでは生きてたかったなって。

おれはぼんやり考えてた。

 

共同宅のベッドのうえで横たわる俺。

ベッド脇にはヒロとナツがいる。

「あぁひとりだったら俺ひとりで死んでたわ」

「ありがとな」

「奥さんにも言っておいてくれよ。ありがとなって」

「じゃ、先に行ってくるわ」

「お前らはゆっくり来いよ」

「あぁ、俺の人生まぁまぁよかったわ」

って言って永い眠りにつくのさ。

 

 

例えば、西暦2045年のおれたち

 

【ユウ】